狩猟体験・イノシシラーメン事業

2018年10月末に福井市殿下地区にUターンして、林業の傍ら、地元の猟師さんに弟子入りして狩猟をスタートしました。捕獲後に廃棄せざるを得ない大量のイノシシの骨を目の当たりにして、その骨から出汁をとったスープでラーメンを作ることを思いつき、「殿下福亥のししラーメン 福亥軒」として事業化したのが2019年(亥年)の1月11日。以来、毎年冬季限定で、地区内にある農家レストランにて営業しています。

地区内に福井県初のジビエ処理場「ふくいウェストサイドジビエ工房」があるおかげで、止め差しから精肉までの時間が短く、新鮮で臭みがなく脂が甘いのが特徴の殿下のイノシシ。これでもかというほど大量のジビエの骨を投入して丸2日煮込んでしたスープをベースに、シーズンごとにタレやトッピングに新たなチャレンジを加えて、滋味あふれる天然の味を楽しんでもらっています。

2022年1月、4季目を迎えるにあたり、イノシシが全くと言っていいほど獲れないという、最大のピンチに直面しました。福井市内で2020年度にはイノシシ1414頭、シカ653頭の捕獲頭数だったのが2022年度は12月末まででイノシシ255頭、シカ710頭と大逆転。山の環境も大きく様変わりしています。

シカは野菜の他、稲穂や冬にはヒノキの皮や水仙まで食べてしまうなど、とにかく食害がひどい。そこで、直面した問題解決のため試行錯誤と試作を幾度も繰り返し、「鹿ラーメン」に挑戦することにしました。脂身が少なく、火を入れると固くなってしまいがちな肉も独自の調理法でしっとりチャーシューにしました。

全国で害獣として捕獲されるイノシシ、鹿も、食用に回るのは僅か数%と言われています。自伐型林業をフックに過疎の村の活性化に挑戦している当会にとって、ジビエは木材と同じく山の恵み。地区の新たな産業として、これからも引き続き取り組んでいきます。