かつては林業の村として栄えた福井市西部の殿下(でんが)地区(旧丹生郡殿下村)は、ここ30年間で人口が400人に半減し、急激な過疎化に悩まされています。1970年代まで積極的に植林されてきたスギ林も過疎化に伴って長年にわたり放置され、特に皆伐地は再植栽されずに荒れ地となってしまっています。
そんな中、同地区武周町在住の内田健治さん(79歳)は30年ほど前からハナモモを耕作放棄地に独りで少しずつ植樹し、今では同地区風尾町の殿下公民館から名勝武周ヶ池にかけてハナモモの林が連なるまでになり、満開の季節には多くの人で賑わうようになりました。
また、同地区畠中町在住の竹内政人さん(76歳)は、昔ホタルが乱舞していた小川を復活するべく、地区内を貫流する大味川の支流にカワニナを放流する活動を続け、今ではホタルが再び舞い戻りつつあります。
当会では、地区のお二人が継続してきた活動を引き継いで、ハナモモの植栽、保全、植樹祭の開催、ならびにカワニナの放流、ホタルの涵養、ホタル観賞イベントを定期的に行っています。殿下地区内を貫通する県道6号線をハナモモ街道として、脇を流れる大味川をホタルの棲む清流として整備して、未来の世代へ資源として継承していきたいと考えています。